自分のリポジトリでCodexを評価する方法:小さなベンチマークタスクの作り方
公開ベンチマークの順位を自分のリポジトリに当てはめず、代表的な小タスク、固定した実行環境、事前の合格条件、初回・再試行・人のレビュー時間・実測利用量を分けて記録する手順を整理します。
公開 2026.06.27 / 更新 2026.10.11
この記事のポイント
- メタデータの不具合、1ファイルの修正、既存動作の回帰など、代表的で安全なタスクを選ぶ
- 開始commit、環境、ツール・モデルの版、許可範囲、指示、受け入れ条件を開始前に固定する
- 初回、再試行、総試行予算、人のレビュー時間、確認できた利用量と費用を分けて記録する
- 環境・探索・実装・検証・報告の正確さに関する失敗を切り分ける
結論:公開ベンチマークより、自分のrepoで小さく試す
SWE-benchで高いスコアのモデルでも、手元のリポジトリの構造、ビルド、記事生成、upload同期、文体、AGENTS.mdを理解するとは限りません。最初は失敗しても戻せる小さな評価タスクを作り、差分、確認、報告の正確さまで見ます。
| 代表タスク | 例 | 先に固定する合格条件 | 評価から外す範囲 |
|---|---|---|---|
| メタデータの不具合 | 既存記事のdescriptionと生成HTMLの不一致を直す | 指定値がHTMLに出て、title・H1・canonicalが対象外変更されない | 公開や本番設定の操作 |
| 1ファイルのバグ | 境界入力で既存関数の返り値がずれる問題を直す | 事前に書いた入力・期待値で修正前の失敗と修正後の通過を確認 | 無関係な整理や複数moduleへの拡張 |
| 振る舞いの回帰 | 既存routeやqueryの一つの挙動を保つ | 通常値と境界値の両方で既存仕様を確認 | deploy、課金、secret、外部送信 |
比較の前に、同じ開始条件を作る
自分が把握しているリポジトリから、メタデータの食い違い、範囲を限定した1ファイルの不具合、入力と期待結果を言える既存動作の回帰を選びます。本番変更、秘密情報、課金、外部送信、大きな移行は評価対象にしません。比較する試行ごとに開始commit、作業領域、OS・実行環境・既存依存の状態、ツールとモデルの識別子・版、許可範囲、リポジトリの指示書、利用する確認コマンドを記録します。環境や指示が違えば同じ条件の試行として集計しません。新しい依存の導入や破壊的なresetを評価手順に含めないでください。
合格条件は、AIがコードを書く前に決める
要件、入力値、期待する結果、境界条件、禁止する変更、検証方法を先に書き、生成後に合格条件を都合よく変えません。受け入れ条件は生成されたコードやAIの説明から作らず、issue、利用者の期待、既存仕様などコード外の根拠から決めます。作業開始前に確認できる既存の挙動を記録すると、修正後との比較ができます。
Codex評価タスクテンプレ
## 記録カード
### 実行前に記入
- タスクID / 目的: [ ]
- タスクの種類: [メタデータ / 1ファイルの不具合 / 既存動作の回帰 / その他]
- 対象リポジトリと開始commit: [ ]
- 作業領域 / 開始時の状態: [ ]
- OS・実行環境・既存依存: [ ]
- ツール・モデル・版: [ ]
- 許可範囲・リポジトリの指示・依頼文: [ ]
- 受け入れ条件を決めた時点と根拠: [ ]
- 検証コマンドと期待結果: [ ]
- 総試行予算: [初回を含む試行数と時間上限]
- 再試行の上限: [初回の後に許す回数]
### 実行後に記入
- 初回の結果: [PASS / FAIL / BLOCKED / NOT RUN] - 証拠: [ ]
- 再試行回数 / 理由 / 変えた条件: [ ]
- 使用試行数 / 総試行予算: [ ]
- AIの実行時間: [ ]
- 人のレビュー時間: [ ]
- レビュー込みの合計時間: [ ]
- 確認できた利用量と証拠の出どころ: [値と単位 / unavailable]
- 費用: [請求などで確認できた値 / unavailable]
- 失敗分類: [環境 / 探索 / 実装 / 検証 / 報告の正確さ / なし]
- 差分・生成HTML・未確認事項: [ ]
- 次の判断: [環境を整える / 記録カードを直す / 範囲を絞る / 採用する / 終了]
## 結果記録表
| タスク・固定条件 | 初回・再試行・予算 | 実行時間+人のレビュー | 確認できた利用量・費用 | 結果・失敗分類 |
| --- | --- | --- | --- | --- |
| [ID、commit、ツール/版] | [初回: ] / [再試行: ] / [予算: ] | [実行: ] + [レビュー: ] | [利用量: ] / [費用: ] | [結果: ] / [分類: ] |初回・再試行・時間・利用量を分けて記録する
初回の結果は、再試行前の記録として保存します。再試行した場合は回数、理由、変えた条件を記し、初回の結果は書き換えません。再試行の上限と、初回を含む総試行予算も別々に決めます。作業時間はAIの実行時間と、人が差分や出力を確認した時間に分け、合計も残します。提供元が利用量を示す場合は単位と確認元を添え、確認できない利用量や請求額は「未確認」と記録します。token数を金額や品質の代わりに扱わないでください。
| 失敗分類 | 記録する状況 | 次の確認 |
|---|---|---|
| 環境 | 依存関係・許可範囲・実行環境・fixtureの事情でコマンドを始められない | BLOCKEDとして保存し、環境条件を整えた後は別の試行として記録する |
| 探索 | 対象ファイル、既存仕様、関連する生成物を見誤った | 見落とした根拠と探索にかかった時間を記録する |
| 実装 | 変更が要件に合わない、副作用がある、対象範囲を越えた | 満たせなかった受け入れ条件と該当する差分を結びつける |
| 検証 | 必要な確認を実行できない、誤ったテストが通る、結果を読み違えた | テストが独立しているか、実際の生成物も確認する |
| 報告の正確さ | 実行していない確認をPASSとした、未確認事項を隠した | 完了報告と実行記録・生成物の食い違いを記録する |
結果から安全に次の一手を決める
環境の都合で止まった試行は、コード修正の失敗に数えません。条件を整えた後は新しい試行として記録します。合格条件が曖昧だった場合も、結果を見て後から通すのではなく、記録カードを直して別に試します。受け入れ条件を満たしても、まずは対象範囲やレビュー手順の改善に活用し、本番操作を任せる根拠にはしません。一律の最低タスク数はありません。異なるタスク、環境、許可範囲を混ぜた成功率やモデル順位は作らず、条件つきの観察として扱います。
完了報告も評価対象にする
Codex評価では、コードが動いたかだけでなく、何を確認したか、何を確認していないか、警告をどう扱ったか、uploadやsitemapを本当に見たかまで評価します。強いモデルでも、未確認を確認済みと言う運用は危険です。
Codex評価タスクFAQ
最初にどんなタスクを任せればよいですか?
1ファイルの文言修正、FAQ追加、内部リンク追加のように、差分が見やすく戻せるタスクから始めます。
成功率だけで判断してよいですか?
いいえ。目的外変更の少なさ、確認の正確性、失敗時の説明、危険操作を止める判断も評価します。
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